日々ほぼまいにち気ままな雑感

半世紀近く流通業界傍流の立場で、世の中を斜め45度から観察  スーパーマーケットチェーンの勃興から繁栄・挫折、百貨店の栄光と衰退の繰り返し、商店街の栄華盛衰などを間近で経験 ・半世紀以上いち生活者の立場で、暮らしを営み続けている  高度経済成長期下での贅沢謳歌から、マイナス成長下での質素倹約生活まで

今年のコンビニおでん(2015/9/7)

今年も例年通り、お盆が明けた頃からコンビニのレジ横におでんコーナーが出来ていた。各社では、レジ前に「おでん」コーナーが出来たが、例年と少し事情が異なる。

今年はセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社がいずれも、「地域対応」をコンセプトにした戦略を打出してきている。

 
○ セブンイレブン2015
※ だしを日本全国8つのエリアに分け、地域の特徴を活かした味わい

 
〇ファミリーマート2015

※全国5つのエリア別にだしの味を変えている 
 

○ ローソン2015
※全国6つのエリア別にだしを用意
 
3種類の削り方(荒削り・薄削り・粗砕き)の焼津産かつお節を「追いがつお製法」で段階的に抽出した、旨みと風味が豊かな1番だしに、北海道産昆布のだしを加えました。
 

【関東・沖縄】
基本つゆ
焼津産かつお節、北海道産昆布
+【北海道・東北】煮干し
+【中部】むろあじ節
+【近畿】牛、鶏
+【中四国】牛、鶏、煮干し
+【九州】牛、鶏、あごだし

 

 

ちなみに昨年(2014年)の3社を見てみると、3社いずれも“だし”に言及しているものの、地域対応は打ち出していない。

 ○ セブンイレブン2014

 追い鰹で使用する薄削り節と昆布だしを増量 “つゆ”と“具材”にこだわりました! ~ 煮込んで美味しい野菜メニューが続々登場~

〇ファミリーマート2014

「つゆだくおでん」 さらに美味しく、お買い求め安く

~今年のポイントは4つ!“定番商品のリニューアル”から“価格設定”まで~今年も例年通り

○ ローソン2014

「つゆ」のこだわり

・「追いがつお製法」により広がる焼津産かつお節の“旨味”

・ひと手間かけた「仕上げ鰹」で“風味”と“香り”をプラス

 

コンビニの地域対応は、セブン&アイホールディングスの鈴木会長の年頭あいさつ「今年はチェーンストアのあり方を全面的に見直す」という言葉から始まったと言っても過言ではない

http://www.itoyokado.co.jp/dbps_data/_material_/localhost/pdf/2014/20150105.pdf

↑ 7&I CEO鈴木敏文 2015年年頭ごあいさつ 

 

量販店にせよ、コンビニエンスストアにせよ、チェーン展開する業種業態では、

全国一律の商品政策が基本であり、商品も価格(一部差替えはある)も店舗や地域で大きな差はなかった。いわゆる商品さえあれば売れるという高度成長期には、「大量仕入れ→大量販売」という“マスメリット”のビジネスモデルがあたりまえであった。

買い手(消費者がお店や企業を選ぶ時代)に変わったにも関わらず、恐竜ばりに図体ばかり大きい売り手のほうは、残念ながら、相変らず買い手に近づく努力が見られない状態。そんな中セブンイレブンでは、関西で苦戦していることに着眼し、早くから出汁や弁当や惣菜での地域対応を試みてきており、今年この取組みを全国に水平展開しようというもの。

おでんに関してもこの流れに沿ったもので、セブンについては特に驚くことはない。しかしファミマやローソンも同じような戦略を取ってきたことには驚く。

 

本日のまとめ

セブンは、先駆者として大きなリスクを抱えながら商品開発。ファミマ、ローソンの事情はわからないが、時間、人などセブンほど大きな費用は投じていないのでは…?

セブンには、風の抵抗を受けるリスクがありながら、先頭を走り続けるマラソンランナーのプライドを感じる。