日々ほぼまいにち気ままな雑感

半世紀近く流通業界傍流の立場で、世の中を斜め45度から観察  スーパーマーケットチェーンの勃興から繁栄・挫折、百貨店の栄光と衰退の繰り返し、商店街の栄華盛衰などを間近で経験 ・半世紀以上いち生活者の立場で、暮らしを営み続けている  高度経済成長期下での贅沢謳歌から、マイナス成長下での質素倹約生活まで

お歳暮カタログ検証(巻頭企画編)(2015/11/27)

 お歳暮商戦たけなわ、先週末の3連休の百貨店はモノ凄い人人人…!!! 

早期割引特典が来週で終わるところが多く、今週の土日はさらに凄いことになるはず。と言う訳で、本日のテーマは【お歳暮】。大まかな検証はキャンペーンスタート時にしたので、今回はピンポイントで各社のカタログの特徴について書く。

 

◇2015年お歳暮カタログ巻頭企画

 【イオン】うれしいをさがそう 日本 心 発見

f:id:hansoku365:20151014164718j:plain

カタログ1冊ほぼまるごと『ニッポン』、表紙ビジュアルも各地域の特産品のお膳で構成。 取り扱い商品が限定される(基本百貨店限定商品を扱うことができない)量販店(売り手)としては、最も完成度が高いカタログなのだろう。ただしカタログの完成度と選びやすさとは必ずしも一致しないが…

① じもののギフト 風土が育む個性豊かな味やすぐれた一品。地域の魅力をお届けするギフトです。

全国を7つの地域で区切った地域差替えカタログ、近畿版は「滋賀の鮒ずし」「紀州のあんぽ柿」など生鮮食品中心の構成。別冊カタログ「おうちのギフト」でも6つのエリア(みちのく、かんとう、かいどう、ほくりくしなの、きない、さいごく)に分けて、『じものの幸箱』を展開。

② 北の大地の贈物特集 唯一無二の魅力にあふれる北海道。味わって、訪れて、その懐深さを感じるギフトです。

f:id:hansoku365:20151126144338p:plain

「牧場の美味」で乳製品、「北国のスイーツ」で六花亭をはじめとするお菓子、「北国の恵み」でジンギスカンセットなどの北海道グルメ、「北国の鍋」では毛蟹、タラバガニなどを使った鍋。そして「北国の旅」と題した紙面で北海道の温泉旅ギフトを訴求。モノとコトの2方向からのアプローチで企画を充実させている

③ ジャパンクオリティ 日本が世界に誇る伝統の文化や品質。その価値を再発見するギフトです。

f:id:hansoku365:20151126144513p:plain

三重「伊賀焼土鍋」と秋田「大曲大館曲げわっぱ」の2アイテムを掲載

④ 地産知贈(ちさんちぞう) 北から南まで、日本の各地で育まれる美味。そんな名産品の数々を素材につくり上げた、風土が薫る美味しさの贈り物です。

全国各地の名産品ギフトであるが、商品、デザインからはお土産品的構成は見られない

 

【イトーヨーカドー】 冬ギフト

 f:id:hansoku365:20151014164730j:plain

 http://www.itoyokado.co.jp/special/wintergift2015/catalog/pc.html?directPage=0

全体を通して、お歳暮の原点回帰を基本に、今時の家族事情に配慮したカタログ構成。表紙素材に「数の子」と「ハム」というオーソドックスな商品を起用しながら、「匠の逸品」としてのこだわり訴求で差異化を図る狙い

① 匠の逸品 ~伝統と技が、魅せる味~

f:id:hansoku365:20151126144123p:plain

「匠の逸品」として、原材料、製法、味にこだわった18アイテムを巻頭で展開するのは、百貨店に近い紙面構成

② 健康を気づかう贈りもの

f:id:hansoku365:20151126144103p:plain

シニアを意識した商品を比較的前のページで展開

③ まごころサイズの贈りもの

家族の人数に応じて、3段階から最適な個数を選べるライフスタイル対応企画

 

【アピタ】2015お歳暮 冬の贈りもの

f:id:hansoku365:20151014164749j:plain

アピタ・ピアゴ 2015お歳暮 冬の贈りもの

毎週の新聞折込チラシ同様、カタログも、オンリーワン度はアピタが一番。売上が低迷する中で、よくこんな広告を出し続けられるなあと感心する。注視率は他社の追随を許していないのは確実だが…

① マンガ「おとりよせ王子 飯田好美」お勧めの逸品21品

f:id:hansoku365:20151126143913p:plain

お中元に続いての企画(※お中元で大反響!との記述あり)をブラッシュアップ

全国各地の名産品を、漫画の主人公(飯田好美)が紹介する構成で、従来よりも若いギフトビギナー世代にアプローチしているように見受けられる

テーマを3つのシーンに分類

①-1 家族団らん いつもと違う逸品でちょっと贅沢な家族団らん

①-2 手みやげ 手みやげには自慢の逸品を

①-3 気軽なギフト 自分にもあの人にもちょうどいい。気軽な「おとりよせ」ギフト

 

② 「暮らすWith日本製」

日本製のおいしさを味わう暮らし

②-1 九州 世界文化遺産で話題! ものづくりの風土に育まれた九州から名品をお届け!

②-2 西日本瀬戸内 おいしさを凝縮させた瀬戸内のオリーブ畑の恵みを食卓に。

 

本日のまとめ

お歳暮ギフト商戦は今週、来週がピーク。大手3社のカタログ巻頭企画を分析したが、表現や切り口にこそ違いはあるものの、よくよく中身を見ると、3社に大きな違いは見られない。これは売り手の問題というよりむしろ、歳暮ギフト市場が過去のものになりつつあるということに問題があるように感じる。

中元歳暮ギフトのような義理、義務的な贈答習慣は早晩無くなってしまうのでは…

自分贈り、ご褒美ギフトなんかでごまかすことは、早急に諦めたほうが良い! と断言する。

最後に私が良いとおもった冬ギフトカタログを紹介。

 ヤオコー 冬のギフト2015

ヤオコーという埼玉に本社をおき、北関東一帯で食品スーパーを展開する企業。

カタログの優れた点はいくつもあるが、① 売り手の無理やり感がない ② 商品本位 カタログというと、とかく気合が入りすぎて空回りする仕様が目につくが、買い手にとっては、「商品が選びやすいカタログ」が一番良いカタログ。

 

もうひとつ、「成城石井」。こちらは、イラストレーションでソフトな表紙、タイトルも『気持ち伝わる贈り物』と“お歳暮”の文字は一切ない。ページを開ければ、オンリーワン(成城石井ならでは)商品をこれでもかというほど並べている。自社の強みを遺憾なく発揮して、なおかつ押しつけがましさを感じない。

デジタルカタログがなく、伝えきれないのが残念。

f:id:hansoku365:20151127163311p:plain