日々ほぼまいにち気ままな雑感

半世紀近く流通業界傍流の立場で、世の中を斜め45度から観察  スーパーマーケットチェーンの勃興から繁栄・挫折、百貨店の栄光と衰退の繰り返し、商店街の栄華盛衰などを間近で経験 ・半世紀以上いち生活者の立場で、暮らしを営み続けている  高度経済成長期下での贅沢謳歌から、マイナス成長下での質素倹約生活まで

9月の流通通信簿(2015/10/30)

小売業界 9月売上発表

先週末に小売業界から9月の売上実績概況が発表された。業界いずれも好成績が継続している。

◆スーパーマーケット協会(オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会) 

総売上高前年同期比4.3%増、食品同4.7%増、非食品同1.3%増、その他同0.0%

◆日本チェーンストア協会

総販売額前年同月比2.2%増、食料品2.6%増、衣料品0.9%増、住関品1.5%増、サービス2.3%減、その他2.1%増

◆コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会)

全店売上高前年同月比4.9%増、店舗数3.4%増、来店客数2.2%増、平均客単価2.6%増

◆日本百貨店協会

売上総額前年同月比1.8%増、6か月連続のプラス。衣料品・身のまわり品・雑貨・家庭用品・食料品の主要5品目では、身のまわり品、雑貨が6か月連続、家庭用品が3か月ぶり、食料品が4か月ぶりのプラス、衣料品は2か月連続のマイナス 

◆日本ショッピングセンター協会

既存SC売上高の前年同月比2.9%増7月から3か月連続のプラス

 

 ◇業績好調要因は…

・9月は月全般を通じて全国的に雨天日が多く、特に東日本では台風接近により記録的な大雨となるなど来店客数にも大きな影響を与えた

・一方でシルバーウィーク期間中の好天、国民の休日1日増もあった

業界団体いずれも業績好調となった流通業界の9月であるが、好調要因はそれぞれ。内容から、業界による元気度の違いがはっきりと見えてくる。

【スーパー】気象条件の追い風、シルバーウイークなどのプラス要因はあるが、好調要因の陰に… 客数が落ちた分を、青果の相場高、精肉価格の高どまり等による客単価アップでカバーしたとすれば、この先ちょっと心配。

【百貨店】好調要因は、9月末からの中秋節・国慶節の大型連休利用で大勢の中国の人が来日したことで、大量のインバウンド消費が生まれた以外に考えられず。百貨店の稼ぎ頭の衣料品が、2ヵ月連続で前年割れになったことが象徴しているように、この先が深刻。

【コンビニ】コンビニは客数・客単価ともに前年増で健全にみえる。しかし客数増が、店舗数増を率で下回ったことは、黄色信号か…?

 

◇消費者物価指数(平成22年基準)から見た平成27年9月の物価指数(中旬速報値)

ポイント

 (1)  総合指数は2010年(平成22年)を100として102.2
    前月と同水準  前年同月比は0.1%の下落
 (2)  生鮮食品を除く総合指数は101.9
    前月比は0.1%の下落  前年同月比は0.2%の下落
 (3)  食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は100.4
    前月比は0.1%の上昇  前年同月比は0.6%の上昇

統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)

本日のまとめ

9月の結果から、少しばかり流通業の先行きに不安を感じはじめた。心配性なのかも知れないが、流通業にとっての通信簿は「客数」以外にないと断言する。特にスーパー、コンビニは日銭商売、当たり前のことだが、お客様に毎日毎日に来店してもらい、レジを通過してもらわなければ商売にならない。その意味では、スーパーに陰りを感じるし、コンビニも店舗数が増えた割に客数が伸びていないのが気がかり… 百貨店については、インバウンドによる売上を除いた実額での評価が不可欠、そう遠くない時期に、中国バブルは弾けるという市場の常識に則れば…