日々ほぼまいにち気ままな雑感

半世紀近く流通業界傍流の立場で、世の中を斜め45度から観察  スーパーマーケットチェーンの勃興から繁栄・挫折、百貨店の栄光と衰退の繰り返し、商店街の栄華盛衰などを間近で経験 ・半世紀以上いち生活者の立場で、暮らしを営み続けている  高度経済成長期下での贅沢謳歌から、マイナス成長下での質素倹約生活まで

続々秋の旬④(2015/9/18)

本日のテーマ「鮭」

どちらかというと、秋より冬のイメージが強い印象の「鮭」。しかし「秋鮭」というように日本においては秋が鮭の旬。最近は北欧や北米からの輸入ものや、養殖技術の進化などにより、朝食のメインやお弁当のおかずなど、一年を通じて口にするようになっている。

 …ということで本日は【鮭】を取り上げる。

 

◇意外も消費が増えている鮭(家計調査に見る「鮭」への支出)

 ※1世帯当たりの「さけ」の月別購入量(平成22~24年平均)

・鮭は9月から10月 にかけて多く購入されている

・鮮魚全体の購入量が減少する中、鮭は平成元年以降購入量が大きく増加し10年間で2倍以上にな っている ←ちょっと意外

http://www.stat.go.jp/data/kakei/tsushin/pdf/25_9.pdf

↑家計調査「さけ(鮭)への支出」

 

 

◇京都の人は鮭を食べる?(家計調査 都市別鮭への支出額ランク)

  • 京都市は全国13位、ビミョーな順位
  • ちなみに上位は、1位の札幌市、以下2位青森市、3位仙台市と産地周辺の都市で支出されている。あくまで想像の領域を出ないが、上位3都市は鮭を贈答にしているのでは…? 
  • さらに4位の長野市、6位の前橋市、7位の甲府市と内陸部が上位の理由は全くわからないが、海への憧れ?
  • 鮭の寒干しで有名な新潟県の新潟市が8位というのも解せないが… 贈答にも使わないのか?

 

 ◇お歳暮に新巻鮭

かつてお歳暮の定番といえば「新巻鮭」「数の子」だったが、最近は「ハム」「ビール」その他「スイーツ「などに押され気味。凋落の原因は日本の家庭事情にあると推察する。

  1.  近年少子高齢化の家族事情から、鮭をまるごと一尾もらっても食べきれない
  2.  大半の家庭には鮭をさばく出刃包丁が台所にないので、扱いに困ってしまう
  3.  正月行事の変化により、鮭・数の子が主役の座を「焼肉」に取って代わられた

ついでに言うと、歳暮ギフト市場も鮭、数の子同様に凋落傾向にあるようだが、これについては、また別の機会に書こうと思う。

 

◇幻の鮭 鮭児

鮭児とは、北海道知床から網走付近で11月上旬中旬に獲れる鮭。1万匹のなかに1匹か2匹しか獲れないことを知れば、鮭児がどれくらい希少性が高いかということがわかる。銀毛の鮭と比べても、鮭全体に脂がのっているので高級寿司店のネタとして使われるが、私にはそのおいしさがわからない(調理法が間違いだったのか?)

 

本日のまとめ

今からもう30年以上前になるが、9月中旬に取材で北海道に行って、はじめて河川を遡上する大量の鮭をみた衝撃は、今も忘れることは出来ない。生れた川の上流で産卵する習性がある鮭が、何重にも重なり、鱗も皮もはがれたボロボロの状態で遡上する姿には、生命の尊さする感じてしまう。我々が口にするのは川を遡上する鮭ではなく、遡上前の海で水揚げされる脂がのった鮭である。

 余談になるが、子供の頃に親から「背の青い魚(さんま・さばなど)は生で食べるな」と教えられた。30年前はまだ高速道路もトラックの保冷機能も物流システムも、すべてが今日ほど整備されていなかったので、京都で生さんまのお刺身を食べることはかなわなかった。そんな頃、羅臼漁港の漁師向けの賄食堂で、生れてはじめて生さんまのお刺身を食べた。月日は流れ、あれから30年経ち、いまではスーパーの店頭でも回転すし店でも、安価で生さんまのお刺身を食べることができる。まさに時代の進化を実感せざるを得ない。

がしかし、残念ながら私は、羅臼の賄食堂で食べた『生さんまのお刺身の“おいしい~”』以上の感動に、その後まだ出くわしていない。