日々ほぼまいにち気ままな雑感

半世紀近く流通業界傍流の立場で、世の中を斜め45度から観察  スーパーマーケットチェーンの勃興から繁栄・挫折、百貨店の栄光と衰退の繰り返し、商店街の栄華盛衰などを間近で経験 ・半世紀以上いち生活者の立場で、暮らしを営み続けている  高度経済成長期下での贅沢謳歌から、マイナス成長下での質素倹約生活まで

10月の流通通信簿(2015/12/2)

小売業界 10月通信簿発表

小売業界から10月の売上実績概況が発表されたのに続いて、経産省の「10月の商業動態統計(速報)」を発表し、業界いずれも好成績が継続している模様。

速報|商業動態統計|経済産業省

 

◇業界団体別業績

◆スーパーマーケット協会

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・総売上高前年同月比105.1%

・食品同105.1%、生活関連同104.6%、衣料品同102.0%、その他同107.3%

・平均客単価101.4%

 

◆日本チェーンストア協会

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・総販売額前年同月比2.2%増、7ヶ月連続プラス
・部門別では、食料品2.5%増、衣料品3.4%増、住関品1.9%増、サービス1.7%減、その他1.5%減

 

◆コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会)

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・売上高前年同月比+2.5%、7ヶ月連続プラス

・来店客数前年同月比+2.1%、2ヶ月ぶりのプラス

・平均客単価前年同月比+0.4%、7ヶ月連続プラス

 

◆日本百貨店協会

 

・売上総額前年同月比4.2%増、7か月連続プラス

・衣料品・身の回り品・雑貨・家庭用品・食料品の主要5品目は、5ヶ月ぶりに全品目がプラス 

・身のまわり品と雑貨が7ヶ月連続プラス、雑貨は7ヶ月連続で2桁プラス

 

◆日本ショッピングセンター協会

 

・SC売上高は前年同月比2.8%増、7月から4ヶ月連続プラス

 

 ◇業績好調要因は…

【スーパー】

・全国的に好天に恵まれ、特に西日本は記録的多照、平均気温は平年並み

 ※月の前後半で寒暖差が大きく、季節商品の販売に影響が出た

・食品の好調は、青果の相場高、精肉価格の高止まりによる客単価アップによるものと推察されることから、先行きに不安

・衣料品は、前半の気温低下の影響から、シーズン商品の動きが良好

【百貨店】

・9月末からの中秋節・国慶節の大型連休で、大量のインバウンド消費が発生

・本来、百貨店の稼ぎ頭であるべき衣料品が2ヵ月連続で前年割れは、深刻な不安

【コンビニ】

・全国的に平年並みの気温、降水量が少なく日照時間が多かったために、行楽需要が好調で来店客数増につながった

・淹れたてコーヒーなどのカウンター商材、調理麺・おにぎり・サンドウィッチなどの中食、デザート・アイスクリーム・飲料などが好調が売上好調要因

 

◇消費者物価指数(平成22年基準)から見た平成27年10月の物価指数(中旬速報値)

ポイント
 (1)  総合指数は2010年(平成22年)を100として103.9
    前月比は0.1%の下落  前年同月比は0.3%の上昇
 (2)  生鮮食品を除く総合指数は103.5
    前月比は0.1%の上昇  前年同月比は0.1%の下落
 (3)  食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は101.7
    前月比は0.1%の上昇  前年同月比は0.7%の上昇統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)

本日のまとめ

各団体が挙げている好調要因で、説得力があるのは、下記2点ぐらい

 ① 天候条件 … 前年客足が落ちた2度の台風がなかった

 ② 曜日配列 … 月のうち、土曜日の日数が前年から一日増

10月の結果から、前月から感じていた流通業の先行きに対する不安が、さらに増幅した。以前にも書いたように、流通業にとっての通信簿は「客数」以外にないと確信する。

しかしコンビニを除いては客数に陰りが見えるが、そのことを問題視する発言を全く耳にしないことが、私を心配性にしている最大の理由。

経済産業省の「商業動態統計速報(平成27年10月分)」でも、表題に『持ち直しの動きがみられる小売業販売』とあるが… どう考えても楽観的すぎないか?