お歳暮ギフトカタログ分析③「百貨店編」(2015/11/9)
お歳暮シーズンたけなわ。百貨店、スーパー各社もギフトカタログを発行して、目下早期購入割引セールに躍起。
お歳暮をどこで購入するかを聞いたところ、どの年代でも「百貨店」がトップという結果、しかし百貨店のお歳暮を買うのに百貨店
◇お歳暮ってまだ包装紙?
お歳暮は百貨店の包装紙で…というのは遠い過去の話。そもそも省エネ問題が取りざたされて以降、簡易包装が当たり前になり、“完全包装でお願いします”なんて言おうものなら、(表情には出さずとも)、“このKY野郎が!!!”という店員さんの心の声が聞こえてくる。もともとお歳暮は、お世話になった方のお宅を訪問して、感謝の品を風呂敷に包んで持参するのが当たり前。
◇毎年恒例の出陣式光景?
◇百貨店各社のカタログ
・中元、歳暮ギフト市場の縮小にもがく百貨店各社は、あの手この手で奮闘しているが、成功事例はなかなか見つかっていない模様
・唯一「自家需要」には手ごたえを感じているようであるが、そんなに大きなマーケットにはなっていないのが実情
・お中元は7月、お歳暮は11月の全売上の25~30%近くの構成比があり、斜陽といいつつも絶対金額は大きいので、コンビニのように変革は困難
① 伊勢丹
・お中元はマスカットをモチーフにグリーンの表紙でさわやかな印象があった。冬のモチーフは「数の子」と黄一色の表紙。意外性はあるものの、夏にくらべてどうか…
・「オンリー・エム(三越のM)・アイ(伊勢丹のI)」で、いつものようにオリジナルギフトを巻頭展開
・目玉は「おいしい温故知新 ~受け継ぐ食、進化する食」と、斬新に思えるテーマも、全体を通しては、オーソドックスな百貨店ギフトからの冒険は確認できず
② 高島屋
・お中元に続いて、高島屋が今年取り組んでいる『琳派400年』関連の表紙ビジュアル(表紙原画は原神一氏 “三千年”)
・テーマは「はじめての、きもちで。~伝統が創る、新しい今」。評判の旅館や銘店ギフトを紹介
・細かいテーマでいくつかの新しい試みは見られるものの、全体的にはオーソドックス
③ 阪急
・贈りもの、わたし流。斬新なコピーの割にビジュアルは往年の百貨店イメージ
・「ご自宅にお取り寄せ」「自分でも食べてみたい」「大切な方へ贈る前に味見したい」、と『自家需要』狙いの切り口が見られる点は他の百貨店よりも個性的
④ 大丸
・おいしい日本、お届けします。こちらも表紙ビジュアルは往年の百貨店。写真はここ何年間同じ進藤晶子さん。
・巻頭企画は“贈るシーンに合わせて勢ぞろい、冬の贈り物。”で、先様のご都合に合わせて贈る「美味リクエスト便」と定番の人気ギフトをお得に贈る「冬の特選ギフト」
・「美味リクエスト便」は商品券に最も近いギフト、古くから各社が取組んでいるものの、巻頭紙面での取組みは、私の記憶では初めて。表紙コピーとビジュアルのオーソドックスからは、想像できないがんばりに拍手したい
本日のまとめ
私も今日まで約30年余、お中元・お歳暮ギフトカタログに、直接的・間接的に関わり続けているので、カタログ作成側の苦労やもどかしさも、発行側の苦悩もそれなりに理解できているつもり。
しかしこのブログは顧客視点だから、辛口にならざるを得ないことはご容赦を。
「量販店編(11/3)」「コンビニ編(11/4)」に続く3回目として「百貨店編」を書いたが、やはりいちばん消費者の利便性、生活スタイルに呼応する姿勢が見受けられるのが、「コンビニ」である。2番目は「百貨店」、さすがに売上規模が大きいだけに、真剣さが伝わってくる。「量販店」については、厳しいようであるが、今後どうしたいのかがほとんど見えない。