日々ほぼまいにち気ままな雑感

半世紀近く流通業界傍流の立場で、世の中を斜め45度から観察  スーパーマーケットチェーンの勃興から繁栄・挫折、百貨店の栄光と衰退の繰り返し、商店街の栄華盛衰などを間近で経験 ・半世紀以上いち生活者の立場で、暮らしを営み続けている  高度経済成長期下での贅沢謳歌から、マイナス成長下での質素倹約生活まで

8月の流通業界通信簿(2015/9/28)

小売業界 8月売上発表

先週末に小売業界から8月の売上実績概況が発表された。4業界いずれも好成績が継続している。

◆スーパーマーケット協会(オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会) 

 総売上高前年同期比4.2%増、食品同4.6%増、非食品同1.4%増、その他同0.0%

◆日本チェーンストア協会

総販売額前年同月比2.8%増、食料品同3.3%増、衣料品同4.5%増、住関品同2.7%増、サービス同1.3%減、その他同3.9%減

◆コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会)

全店売上高前年同月比5.2%増、店舗数同3.6%増、来店客数同5.2%増、平均客単価同0.1%増

◆日本百貨店協会

総売上総額前年同月比2.7%増で5か月連続のプラス。身のまわり品、雑貨が4ヶ月連続、衣料品が2ヶ月ぶりでそれぞれプラス、食料品は2ヵ月連続、家庭用品は4ヶ月ぶりにマイナスと主要5品目は明暗が分かれた。地区別では、10大都市(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡)の売上動向は4.6%増で5か月連続のプラス、対して北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の地区別売上動向は1.1%減で3か月連続のマイナスと、相変らず都市部と地方の消費格差では大きな開きがある。

 ◇業績好調要因は

業界4団体いずれも業績好調となった8月だが、好調要因はそれぞれ。

【スーパー】青果の相場高、精肉価格の高どまりでも客数が落ちなかったこと

【百貨店】季節変化が順調(上旬は猛暑日続き、中旬以降は台風による気温低下)で、前半は盛夏物、後半は秋冬物がリード役となった

【コンビニ】入れたてコーヒー、弁当・総菜など日配品が好調で客数客単価増加

流通業界は8月もおおむね好調な結果も、内容から、業界による元気度の違いがはっきりとわかる。

スーパーは「相場高=値上げ分」、百貨店は「気温」とともに相手任せ。これに対して、コンビニは「入れたてコーヒー」や「弁当などの地域対応」など自らの努力によって好調を切り拓いている。

 

◇消費者物価指数(平成22年基準)から見た平成27年8月の物価指数

ポイント

1. 総合指数は2010年(平成22年)を100として103.9前月比は0.2%の上昇  前年同月比は0.2%の上昇

2. 生鮮食品を除く総合指数は103.4、前月と同水準  前年同月比は0.1%の下落
3. 食料(酒類を除)及びエネルギーを除く総合指数は101.5前月比は0.3%の上昇  前年同月比は0.8%の上昇

統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)

本日のまとめ

8月の好調結果は、コンビニ勝ち組、スーパー、百貨店負け組(とまでは言わないが将来性が見込みづらい)ことを明確に示している。常々流通業は生活者(消費者)に寄り添う商売であるべきと考えている。

そして今、コンビニがシニア層や単身世帯、そして地域ごとの生活スタイルにきめ細かく対応していることが、生活者から高い支持を集めているということ。

効率の良くないGMS店舗の閉鎖による、経営効率最優先の量販店には、「お客に寄り添う」という基本を思い起こしてほしい。おそらく今、閉鎖候補にあがっている採算の良くない店舗ほど、生活者は存続を望んでいる店舗であるはずだから…